理事長・校長あいさつ

自分自身を創造しよう

理事長 加計 孝太郎

 本校は、昭和37年に学校法人加計学園の最初の設置校として開校致しました。当時、水島臨海工業地帯が発展しつつあった中で「ひとりひとりの若人が持つ能力を 最大限に引き出し 技術者として 社会人として 社会に貢献できる人材を養成する」という建学の理念の下、生徒の教育指導にあたったのが歴史の第一歩でありました。

 それ以来、今日まで半世紀に渡る人材育成に努めて来ており、その教育方針は現在も変わることなく、本校をはじめとした学園設置校に在籍する学生生徒の皆さんへの教育指導にあたっているところであります。

 さて、皆さんが生まれ育った21世紀という時代は、あらゆる分野の進歩が20世紀とは比較にならないくらい急速な発展を続けています。中でも特に科学技術ではAI(人工知能)の登場とその加速度的な発展はよく知られているところであります。また、現在、人間の手による仕事もAIによってなされるようになるばかりか、近い将来、私たちの社会や生活そのものを大きく変えようとしています。その究極の姿は予想できないとさえ言われていますが、その様な状況の中でこそ「私たち人間にしかできない仕事は何か」「人間に求められているものは何か」が大きな課題となっています。

 いろいろな意見がありますが、これから求められているものの一つは「より創造的な人間」ではないでしょうか。「新しいものの創造」それには記憶力も必要ではありますが、より高い論理的思考力、想像力、探究力などを併せ持った人材が必要であり、建学の理念こそが、これからの社会と時代が求める人材を育成することが本校の最大の目標であります。

 時代と社会の進化と共に本校も進化し、より創造的な学校をめざして歩み続けて行きますので、可能性を秘めた皆さんも私たちと一緒に自分自身を創造し新しい時代を歩んでください。

校長 田原 誠

変化していく社会

 経済や社会の構造が変化し、情報や文化のグローバル化が進む社会では、これまでの価値観、経験、習慣や常識だけを頼りにしていては対処できない事態が多数生じます。

 私たちの身の回りの状況を見ると、短い期間に大きな変化を遂げたものに気がつきます。スマートフォン、電気自動車、ネット販売などなど・・・・。 このような変化は、関係する業界ばかりでなく、実は、経済や社会そのものの変化に広く根差しているといえます。 また、ニュースを見ると、世界の様々な国においても、同様の社会的な変化が生じており、国境を越えた企業の連携、産業の移転などグローバルな動きが頻繁に報じられています。 経済のグローバル化は、ヒト、情報、さらに、宗教、文化などの国際的な移動を拡大し、多様な価値観や考え方が存在する社会が形成されていきます。 このようなグローバルな変化は、今後、世界のより広い範囲を巻き込み、その速度も加速するものと予測されています。

これからの社会を生き抜くための教育の改革

 社会構造の変化とグローバル化によって、経験則だけでは対処が難しくなるこれからの社会をたくましく生き抜いてもらうために、将来を担う若者への教育を改革する、真剣で大がかりな取り組み(文部科学省の高大接続改革)が進められています。

 その内容は、第一に、これまでに培われてきた知識や技能については、きちんと習得してもらうこと。 しかし、現状の教育は、このことに重点を置きすぎるあまり、変化していく社会に対応できるものではありません。 これを反省し、自ら考え、自ら判断し、それを要約して、人に伝える力を養成すること、さらに、生涯にわたって学び、また、自ら進んで様々な人と対話しながら取り組む姿勢を培うこととしています。 経験則だけでは対処できない課題は、まず、自ら考え、探究し、様々な人と対話することによって最も相応しいと考えられる対応策を築き上げることができます。

岡山理科大学附属中学と高校の取り組み

スーパーサイエンスハイスクール
 岡山理科大学附属中学と高校は、このような教育改革がめざす教育に早くから取り組んできています。 附属高校は、平成24年度から5年間、「スーパーサイエンスハイスクール」の指定を受けて、科学技術系人材を育成するための特徴ある教育を行ってきました。 その際に岡山理科大学を始めとする大学・研究機関などと築き上げた連携を生かして、地域の課題などに取り組む実践的な教育を展開しています。 このような教育は、附属中学校でも実施しており、活動を通して、教室の授業だけでは得られない、課題について自ら考え、様々な人と対話しながら取り組んでいく姿勢など、これからの若者に求められる能力を養成しています。

国際バカロレア教育の導入
 附属高校が導入をめざしてきた国際バカロレア教育(ディプロマプログラム)について、2019年3月に、国際認定を受けました。 岡山県下では初めての認定です。生徒がこのプログラムを修了することで国際的に認められるディプロマの資格は、世界の大学が入学資格として高く評価しています。 国内の国立大学なども歓迎し、筆記試験を課さずに受け入れる入試が広まっています。

 国際バカロレア教育を国内外の大学が歓迎するのは、生徒が自ら学ぶ方法や考える方法を学ぶこと、多様な人々と対話し、その価値観を理解して国際的な視野をもって活躍できる人材を育成していることです。 本校も、来年度から国際バカロレア教育の実践によって、世界が認めるグローバル人材の養成をめざすとともに、その教育方法を附属中学と高校全体の教育に取り入れていきます。

建学の理念の確かな実現
 岡山理科大学附属中学と高校の教育に、新たな取り組みを導入していくのは、「ひとりひとりの能力を最大限に引き出し、社会に貢献できる人材を養成する」という建学の理念をより確かに実現していくためです。

 生徒の資質や将来への希望は一人ひとり違い、多様です。このような多様性に応える教育を実現するためのコースを中学と高校のそれぞれに設置しています。 これらのコースで学ぶことで、考える力、創造する力、探究する力、対話する力をより確かに伸ばしてもらい、卒業後のそれぞれの進路で求められる学力や人間力を養成していきます。

 岡山理科大学附属中学と高校の教育は、これからの社会の変化や多様性、また、生徒の個性を見据えて、一人ひとりがたくましく生き抜くために必要な、本当の意味での「学力」を培うことに専心していきます。 本校がめざす教育をご理解して入学していただき、皆さんが自らの高みをめざし、頑張って勉学や活動にはげんでいただくことを希望します。 保護者の方々には、本校に進学させて良かったと評価していただけるように、教職員一同一致協力して教育にあたることをお誓いします。よろしくお願いいたします。